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『父親たちの星条旗』の感想 [映画・DVD系]

『父親たちの星条旗』を見た。イーストウッド監督による2部作の第1部である本作は、硫黄島で戦った米兵、なかでも、有名な擂鉢山に星条旗を掲げる写真に撮られた兵士たちの戦い・その後を描いている。日米双方から硫黄島の戦いを描くという試みが面白い。双方の視点から描く戦争モノとしては『トラ!トラ!トラ!』や『ミッドウェイ』を思い起こすが、今回のは2つに作品を分けており、単に戦闘の詳細を両側からリアルタイムに追うのではなく、戦闘に関わった兵士や家族個人が主体となっているようだ。

さて、まさしく主人公たちの運命を左右したのは、例の星条旗を掲げる1枚の写真だ。あの有名なシーンに写っていたのは6人。しかし生還したのは3人だった。彼らは「英雄」として国を挙げて賞賛されるものの、本当の真実や彼らの思いとは裏腹に、宣伝マシーンたらざるを得なくなっていく。
硫黄島の「英雄」という言葉があふれるなかで、ひとりひとりの兵士の生死が利用される虚しさ。「英雄」という言葉に埋もれ、見えなくなってしまったものがたくさんある。むしろ主人公らの方にこそ見えているもの。それは戦場の悲惨さ、戦友の無惨な死、本質を見ようとしない上層部や大衆、といったことではないか。

戦闘シーンはそれなりに迫力があったと思う。上陸前の大船団を始め、日本軍火器による応戦シーン、火炎放射や白兵戦など。ただ、日本軍の砲撃が戦艦に命中するシーンが気になったが、あれは演出だろう。登場した米軍航空機は、コルセアと輸送機(DC-3?)、不時着寸前のB-29のみだったと思う。

なお、本編終了後、第2部『硫黄島からの手紙』の予告編があった。アメリカあるいはハリウッドの側から見た日本人(軍)はどうなのか、早く見てみたい。アメリカではどのように受けとめられるのだろう。(ところで一瞬だけ迷彩塗装の日本軍機が登場したが機種はわからなかった。96陸攻か?)

10/31 追記:日本軍からの砲撃が戦艦に命中するシーンに関して。このサイト(http://www.iwojima.jp/data/usnavy.htm)によれば、重巡ペンサコラと戦艦テネシーが砲撃で被弾しているとのこと。それは知りませんでした。


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ken

コルセアって戦闘機はあの独特な羽根の形状が大好きで、
子供の頃に何度かプラモデルを作った記憶があります。
ウチの親父は戦争に行った人間なので、そんな子供を見ながら
何を思っていたかなあと思い出す映画でした。
by ken (2006-10-31 10:26) 

わらばー@見ッチェル

コメントどうもです。
私も子供の頃、慰霊の日(沖縄では休日)に米兵のジオラマセットを買ってきて、家族に白い眼で見られたことがありますw
確かに、そんな子供を見て親の世代が何を思っていたか、というのは考えさせられますね。
by わらばー@見ッチェル (2006-10-31 21:33) 

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