映画『ニライカナイの手紙』の検証----東京〜竹富は可能か [アヤシイ系]
『ニライカナイからの手紙』
超簡単なあらすじ
竹富島でおじいと暮らす主人公の少女。小さい頃に母は島を出て行き、毎年誕生日に東京から手紙が届くだけ。なぜ母は姿を見せてくれないのかという疑問を胸に秘め、少女は成長していく。そしてカメラマンになりたいという夢を抱き、母も住んでいるはずの東京へと向かう・・・
ネタバレになってしまうのであらすじはこのくらいにして、本題は、この映画の劇中の東京〜竹富島移動が可能かどうかを検証することにある。以下、チラシの裏
劇中での描写
「主人公は、母と朝10時に井の頭公園で待ち合わせ。ところが現れたのは母ではなく、おじい。母の事を教えてくれないおじいに業を煮やし、駆け出す主人公。向かったのは渋谷一郵便局(架空)。そこの局長から手紙の謎、本当の真実を聞き、その足で羽田からJAL機に乗り、竹富に帰っている。」
さてここで、劇中の描写にあるように、本当にその日で竹富島まで移動できるのか検証する。
仮説:当日中に竹富島にはたどりつけない。
(注:航空機は映画のスポンサーであるJAL系を利用。映画での季節がはっきりしないため厳密には運行ダイヤも確定できないことになるが、とりあえず現在のダイヤで想定する。また、電車のダイヤはyahoo路線情報に従った。航空機、電車のダイヤは全て定刻通りだと仮定する。)
映画でわかっているのは、10時に井の頭公園で待ち合わせ、おじいとの会話があり、そこから渋谷の郵便局へ行って局長との会話、さらにそこから羽田のシーンが写り、フェリーを経て竹富島にたどり着いているということだ。
羽田〜石垣直行便は朝6時台しかないので、全く問題外。ここでは当然、羽田から那覇に行き、那覇で石垣行きに乗り換えていることになる。石垣から竹富島へはフェリーを利用するしかない。石垣発竹富行きの最終フェリーは17:30発なので、ここから逆算してみよう。これに乗るためには、石垣空港には17時頃には着かなければいけないはず。とすると、那覇発は16時ぐらいまでがギリギリということになる。16時台発とするとJTA619便(16:10発)と621便(16:25発)が該当するが、621便は石垣到着が17:20なので、17:30発のフェリーに乗るのはムリ。よって、619便が竹富にたどり着ける最終ラインということになる。そうなると、この619便に間に合うためには、羽田からの那覇到着が16時前でなければならない。調べてみると、JAL1923便(12:40発15:10着)が該当してくる。こうして、タイムテーブルを作成してみるとどうなるだろう。
(J)竹富島(17:40着)
↑
離島桟橋よりフェリー17:30発
↑
タクシー?
↑
(H)石垣空港(17:05着)
↑
JTA619便(16:10発)
↑
(G)那覇空港(15:10着)
↑
JAL1923便(12:40発)
↑
(F)羽田空港(12:13着)
↑
(E)渋谷駅11:37発
↑
(D)渋谷の郵便局
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(C)渋谷駅10:40着
↑
(B)吉祥寺駅10:24発
↑
(A)吉祥寺・井の頭公園待ち合わせ(10時)
参考までに、那覇〜石垣間ではANAだと1771便(15:25発16:20着)が該当するがJAL1923便からの乗り継ぎはムリっぽい(乗り継ぎ時間が15分しかなく、JAL〜ANA間なので厳しい)。
問題は、(1)まず(A)(B)に関わることだが井の頭公園でのおじいとの会話が何分ぐらいだったのかという点、(2)渋谷での滞在時間がどのくらいか、という点。(1)に関しては10分程度で吉祥寺駅に向かったと仮定(10時24分発の電車に乗れる)。(2)では、1時間弱あることになるわけだが、その郵便局が渋谷駅からそう遠くない場所にあると考えれば、特に問題ない。むしろ、もっと短い時間で済んだ可能性もある。そうなってくると、(E)はもっと早い時間の電車に乗り、(F)の羽田着も早く、1923便よりひとつ早い1919便(12:15発)に乗れる可能性も出てくる(ただし、この便に乗っても石垣からは同じJTA619便にしか乗れないが)。
・・・・・ということでここまでの検証をまとめると
結論:当日中に竹富島にはたどりつけない、という仮説は誤り。実際には、決して不可能ではない、という結論に達する。最初に立てた仮説が誤っていたわけだ。ただし、最後にもう一つ未解決の疑問もある。それは、おじいはどうしたのか、という点だ。主人公は上記のようなルートによって竹富島に当日中にたどりつけたのだろう。ところが、劇中では、島にたどり着いて自宅で全ての事情をさとり泣く主人公のあとから、おじいが到着する。おじいはどのようなルートでたどり着いたのかはまだ検証していない。ということは、(1)主人公はここで想定した最も遅い時間の到着ではなく、もっと前の便で到着し、その後、おじいが到着した(2)主人公もおじいも実は同じ便を利用していたが別行動を取っていた、という2つの解釈が可能となる。この2点についても大変興味のあるところではあるが、これは今後の研究に期待するところである。
おわり
(2006/8/13)追記:この記事には続きがあります。以下を参照。
http://blog.so-net.ne.jp/warabaa/2006-08-12
おもしろい!
物語をそのまま見て楽しむだけでなく、掘り下げてみるのも違う楽しみ方ですね。
by しじゅりん (2006-07-24 12:25)
>しじゅりんさん
どもです。映画観ながら、「これは間に合わないんじゃないか」と直感的に感じたんですが、検証してみたら間に合うことがわかりましたよ。これでほんとに間に合わない、ということなら、もっと面白かったんですがww
by わらばー@見ッチェル (2006-07-25 11:45)
自己レス。映画のクライマックス近くの場面で記憶違いがあった模様。もしかしたら、結論が変わるかもしれません。もう一度、映画を確認してみます。
by わらばー@見ッチェル (2006-07-27 16:31)
スゴイっ(┐゜σ゜)y
わらばー刑事(デカ)に、サスペンスでよくあるアリバイ工作は
通用しないですね~(-~-;)
んんっ…?記憶違いですか??帰ったのは次の日だったとか…??
それにしても、涙じょんじょろりんな作品のようですね…(Ω_Ωo)
by みっこ (2006-07-27 21:08)
>みっこさん
いやー、映画観ながら「間に合うんだろうか」と単純な疑問から調べて上のような結論に至ったんですが、どうやら主人公の行動はもう少しあったらしい。ということは、最初の仮説のように、当日中にたどりつけないかもしれないんですよ・・・。んで、ビデオ屋行ってもう一度借りようとしたら、ここ数日、誰かがレンタルしてて借りられないw
by わらばー@見ッチェル (2006-07-30 23:43)