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『八甲田山』(1977) [映画・DVD系]

『八甲田山』を見た。時は日露戦争の頃、陸軍では訓練のため雪中行軍をすることが決まり、第五連隊と三十一連隊が選ばれる。第五連隊の指揮官は神田大尉(北大路欣也)、三十一連隊では徳島大尉(高倉健)。第五連隊は連隊長(三國連太郎)まで含め2百数十人という大所帯なのに対し、三十一連隊は少数精鋭の27人。対照的なのは人数だけでなく、行軍のあり方もだ。前者は案内人などいらぬと強気で臨み、後者は案内人を雇って慎重に進む。果たしてその運命やいかに。

それにしても加藤嘉は田舎の村長的な役にぴったりだなあ。遭難寸前の北大路の「天は我々を見放した」というセリフが有名だそうだが、出発時の加藤の「山の神様・・・」というセリフが実は重要な意味を持っている。もともとの本作のねらいは、自然を人間が征服できるのかという疑問から始まったらしいが、実際には組織のあり方のほうに関心が寄せられてしまったことに脚本の橋本忍も意外さを隠せなかったらしい。結果として行軍に成功するのは指揮命令系統のはっきりした組織、失敗するのはそうでない組織であるから、そのような関心の持たれ方も当然といえば当然なのかもしれない。

170分はちょっと長いが、尋常ならざる寒さの中で次第に行方を見誤っていく第五連隊の運命を見ているこちらはなんだか熱くなってくるから不思議。

八甲田山 特別愛蔵版

八甲田山 特別愛蔵版

  • 出版社/メーカー: M3エンタテインメント
  • 発売日: 2004/06/23
  • メディア: DVD


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ken

いつか観なければならん、と思いながら、記憶の彼方に追いやられていた1本。
素晴らしいレビューに、今再び、かつての思いを新たにするのでありました。
by ken (2008-09-02 03:54) 

わらばー@見ッチェル

>kenさん
いつもコメントありがとうございます。
私も小さい頃テレビで放送していたのを、兵士たちが凍死するシーンがなんか怖くて結局ずっと見過ごしていて、いつか見よう見ようと思いながらもそのままになっていた1本でした。DVDでは特典で橋本忍インタビューがついてますので、この映画の意図や受け取られ方についてもきちんと語られていて面白いですよ。
by わらばー@見ッチェル (2008-09-02 23:39) 

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